にしし ふぁくとりー:西村文宏 個人サイト

Presented by Nishishi via Movable Type. Last Updated: 2022/03/25. 10:34:27.

各端末にSIMを挿すよりモバイルルータを使う方が月々の通信費(固定費)は安く済む

モバイル端末それぞれに1枚ずつSIMを挿すのは無駄が多い

スマートフォン、小型タブレット、大型タブレット……と複数のモバイル端末を同時に持ち歩いて、それぞれの端末でインターネットに接続したい場合、すべての端末に1枚ずつSIMを挿すのが一般的かもしれませんが、それは費用面(月々の固定費)で無駄があります。特に、それぞれの端末そのものを電話会社経由で購入(契約)してしまうと、かなり無駄な費用を払うことになってしまいます。
そのような契約例を時々見かけるので、複数の端末をもっと安く維持できる方法を以下にちょっと書いておきます。

  • 【費用が高くて避けたい形態】
    最も費用が高くて無駄なのは、電話会社で端末ごとに契約して持つ方法でしょう。端末1台ずつに通信の基本料金がかかるなら、大変な無駄です。(ましてや、通信費とは別に端末代金を分割払いする形態なら、トータルの購入費は割高になりますし。)
  • 【複数枚の格安SIMを使う形態】
    格安SIM会社でSIMを1つ契約して、そのメインSIMに付随する形での「シェアSIM(追加SIM)」を必要なだけ追加発行してもらう形態だと、複数の端末それぞれにSIMを1枚ずつ挿す場合でも安く済みます。契約する基本料金は1回線分だけで、あとは追加SIMの固定費(たぶんSIM1枚あたり月200~300円)くらいだけで済みますから。
  • 【SIMを1枚だけで済ませる最も安い形態】
    最も固定費が安くて済むのは、格安SIM会社でSIMを1枚だけ契約し、それをモバイルルータに入れて使う方法です。すべての端末はWi-Fiを使ってモバイルルータと通信することでネットに接続します。これだと月々の固定費は「SIM 1枚分」だけで済みます。

モバイルルータは、手のひらサイズのルータで、たいてい10台程度のモバイル機器を同時にWi-Fi接続できます。

モバイルルータ

※Y!Mobileの「Pocket Wi-Fi」や、WiMAXで提供される機器もモバイルルータの一種です。ただ、それらは利用する通信回線会社が固定されている機器ですが。そうではなく、自分で調達したSIMを挿して使える汎用のモバイルルータ製品があります。

ネット接続したい端末が何台あっても、使うSIMは1枚だけで済む

SIMは1枚だけをモバイルルータに挿しておき、各モバイル端末にはSIMは挿さずにWi-Fi(無線LAN)だけでモバイルルータに接続する方法なら、契約維持するSIMは1枚だけで済みます。
当然、通信契約も1回線だけで済むので安上がりです。

「モバイルルータを持ち歩かないと何一つネット接続できない」・「モバイルルータにもちゃんと充電しておく必要がある」という手間はありますが。そこを受け入れられれば、月々の固定費を大きく削減できるのでお勧めです。

※「最初にモバイルルータの購入費が必要じゃないか!」と思われるかもしれませんが、逆に「モバイルルータでネット接続する」ことを前提にできれば、SIMスロットのない端末も使用端末の選択肢に入れられます。「SIMスロットのない端末」(=Wi-Fiだけが唯一の通信手段な端末)は、たいてい「SIMスロットのある端末」よりも本体価格が安いです。

※ノートPCの場合、SIMスロットはない方が一般的です。SIMスロットありのノートPCは(同機種で比較すると)たいてい1万円くらい高い価格に設定されているでしょう。

▼トラブル耐性を考えれば、全端末にSIMを挿しておきたい場合もあるかも知れないけども

端末それぞれにSIMが刺さっていれば、トラブル発生時にも通信不能になりにくいメリットはあるとは思います。
通信機能をモバイルルータに集約する場合、モバイルルータが壊れたら全機器で通信できなくなりますからね。
そこは、日々の費用と天秤に掛けてどちらを取るか、という話だと思います。

※もちろん、利用者が複数人居て別々の場所で使う可能性があるなら、端末ごとにSIMを挿しておく必要がありますが。

モバイルルータ利用者なら、SIMスロットのない端末も購入の選択肢に入れられる

私が普段持ち歩いているのは主に以下の3機器で、すべて1台のモバイルルータ経由でネット接続しています。(自宅に居るときは、自宅のLANに固定ルータ経由でWi-Fi接続しています。)

私が日常的に持ち歩いている上記の3機種は、どれも「そもそもSIMを挿すスロットがない」というWi-Fi専用端末です(ノートPCには別の通信手段として有線LANポートもありますが)。
なので、モバイルルータを用意しない限り外でネット接続はできない(※)端末です。(^_^;)
逆に言えば、モバイルルータさえ持っていれば、SIMスロットのない安い端末でも充分事足りる、とも言えます。

※もちろん、モバイルルータがなくても、その辺のフリーWi-Fiに接続することはできます。

自宅には、他にもKindle HDタブレット(※SIMは刺さりません)とか別のノートPC(※SIMは刺さりません)とか旧第5世代iPod touch(※SIMは刺さりません)もあるので無線LANで接続しています。それらも持ち出せば、モバイルルータ経由で通信は可能です。

NEC Atermモバイルルータ+BIGLOBE格安SIM

私が使っているモバイルルータ製品は、NEC製のAtermです。
それに挿して使っているSIMは、プロバイダBIGLOBE提供の格安SIMです。(BIGLOBEは元々はNECが運営していたプロバイダでしたが、独立後にKDDIに買収されました。^^; SIMで使われる回線はdocomo版とau版の2種類があります。)

それらを購入したときの話は、別途記事「BIGLOBE SIMをモバイルルータで使用し始めて1ヶ月。使用感は良好」に書いてあります。

私がモバイルルータを購入したときには2万円近くする製品しかなかったんですが、今では9千円弱くらいの廉価版モバイルルータもAtermブランドで出ているので、それも良さそうな気がしています。
SIMスロット付きのノートPCを買おうとするくらいなら、その「SIMスロットを加える分の差額」で充分モバイルルータ製品が1つ買えてしまいます。

▼自宅のネット回線も、固定ルータに格安SIMを挿す方式に変えた

元々は外出先でのネット接続用に用意したBIGLOBE SIMですが、今はそのシェアSIM(追加SIM)を用意して自宅の回線としても使っています。
自宅に設置してある固定ルータに、BIGLOBEのSIMを挿して通信しています。有線電話回線は使わずに。
その話は、別途記事「据え置き型LTEホームルータ Aterm HT100LN SW を自宅に設置した話」に書きました。

なので、実は今は、自宅でも外出先でもネット回線契約は単一な状況です。

自宅に固定設置する形態のネット回線(光回線とかCATVとか昔のADSLとか)の場合は通信量が無制限ですから、動画を見まくるような莫大な通信をしたい場合にはそういう固定回線の方が良いでしょうけども。
うちの場合はそうではないので、格安SIMの1回線内ですべて済ませる方が、余計な基本料金を取られることなく通信料を安く抑えられて望ましいのでした。

※とはいえ、最近はWindows10の自動アップデートで数GBもの通信が必要になってしまうので、LAN内に存在するPCの数によっては容量無制限の固定回線の方が望ましいこともあるかもしれませんけども。(その辺は様子を見つつ時々考え直す方針です。^^;)

iPhoneサイズのデータ通信専用端末としてのiPod touch

iPhoneサイズのデータ通信専用端末としては、iPod touchが便利です。
「スマートフォンサイズのiOS端末が欲しいけれども電話機能は不要」という場合にはとてもお勧めです。iOS端末の中では価格も最安ですし。(参考:「6年ぶりにiOS端末を新調。第7世代iPod touchを手に入れた!」)

ただ、iPod touchには「GPSはない」点と「SIMは挿せない」点に注意が必要です。
GPSはなくてもWi-Fiのアクセスポイントを見てそこそこ正確な現在位置は特定できますから地図アプリは使えますが、SIMは挿せないのでWi-Fi通信しかできません。(Skype等のアプリを使えば音声通話は可能ですが、マイクの位置はiPhoneのような下側ではなくカメラの隣です。)
その代わり、筐体はすごく薄い上に、販売価格は安いです。

モバイルルータを持ち歩いている場合には便利でお勧めです。
(モバイルルータを持ち歩いているなら、価格の安いiPod touchも充分日常用途の選択肢に入れられる、と言えると思います。)

というわけで、スマートフォンやタブレットなど複数のモバイル機器をネット接続したいなら、モバイルルータの使用が安くてお勧め、という話でした。

関連日記:
■「BIGLOBE SIMをモバイルルータで使用し始めて1ヶ月。使用感は良好」(2016年03月29日)
■「NEC製モバイルルータ「Aterm MR04LN」を買った」(2016年01月26日)
■「据え置き型LTEホームルータ Aterm HT100LN SW を自宅に設置した話」(2019年02月06日)
■「6年ぶりにiOS端末を新調。第7世代iPod touchを手に入れた!」(2019年06月22日)

コメント

とても参考になる記事でした。
説明がわかりやすく、よく理解できました。
他にも興味深い記事がたくさんありますね!
私もモバイルルーターやSIMが挿せるルーターを検討してみようと思いました。
モバイルルーターというものがあることは知っていたのですが、SIMが挿せるルーターがあることはこちらの記事を読むまで知りませんでした。。
Windows10のアップデートについてですが、ファイルが大きいのでレジュームで小分けにして落とすことができれば、固定回線でなくてもいいのかなと考えて、数日前に調べていました。
MediaCreationTool.exeにはレジューム機能はないそうなので、ブラウザのUser-Agent書き換えたり、LinuxでISOを直接ダウンロードできるページにアクセスしたりしましたが、そのページからダウンロードするときに作られるリンクは24時間で無効になるようです・・
技術的なことはよくわからないのでですが、セキュリティ面やコスト面で、24時間で無効になるように設定してあるということなんでしょうか・・レジュームができればいいのに・・と思います。
ISOイメージ一個で4GBあるので、Windows10を使い続ける限り固定回線をやめてしまうのは難しいのかなと思いました。

投稿者 ゆっくま : 2020年01月08日 11:19

ゆっくまさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
どのようなSIMを挿すか次第ではありますが、例えば「直近の24時間で1GBを超えたら速度制限」のようなシビアな制限があるのでない限りは、ISOイメージのダウンロードでも問題はないと思います。4Mbps程度の速度でも、4GBのダウンロードは2時間半くらいで済みますから。昼間や夕方のような混雑時間帯を避ければ充分ダウンロード可能です。
通信量に上限のないタイプの格安SIMだと、そもそも大した速度が出ないので、その場合には結構な時間が掛かってしまうでしょうけども。それでも、平均0.5Mbpsくらい出てくれれば、4GBのダウンロードにかかる時間は18時間くらいです。(ただ、途中で通信が切られてしまうと困りますが。)

なお、過去のWindowsからWindows10へバージョンアップする際ではなく、一度Windows10にした後のアップグレードなら、ダウンロード途中で通信が途切れても問題ありません。

投稿者 にしし : 2020年01月08日 13:07

にししさん、返信ありがとございます!

>「直近の24時間で1GBを超えたら速度制限」のようなシビアな制限があるのでない限りは、ISOイメージのダウンロードでも問題はないと思います。

そうなんですね!、ダメだろう思っていました。

>通信量に上限のないタイプの格安SIMだと、

格安SIMでも上限のないタイプがあるんですね・・これも初めて知りました。。いろいろなプランをきちんと調べてじっくり比較してみようと思います。

>一度Windows10にした後のアップグレードなら、ダウンロード途中で通信が途切れても問題ありません。

確かにそうですね。私の場合、Win10がリリースされて以来、MediaCreationTool.exeで、ISOイメージ(Windows.iso)を作成して、大型アップデートがあるたびにクリーンインストールをしてアップグレードをしているので、それが習い性になり、みんなそのようにしているものだと思い込んでコメントを投稿してしまいました。。
10年くらい前、Win7 PCを購入して間もないころHDDが故障したことがあり、なにも知らずにリカバリCDを作らずにPCを使っていたので、リカバリCDが有償となってしまったことがありました。
なので、Win10を使いだした2015年ころから、MediaCreationTool.exeでISOイメージ(Windows.iso)を作成→Windows.isoを外付けHDDへバックアップ→Windows.isoをマウント→中身のフォルダとファイルをUSBメモリにコピー→クリーンインストールという手順でアップグレードを行っています。ISOイメージをダウンロードするときにはレジュームはできないと、どこかのサイトで読みましたので、できないんだなと理解しました。
知識が曖昧なのですが、いざというときにクリーンインストールをするためのISOファイルが欲しい人は、めんどうでもメディア作成ツールで「ISOの作成」を選択して、作成されたISOをバックアップしておかないと、クリーンインストールができなくなってしまうと理解していますがどうなんでしょうか?

投稿者 ゆっくま : 2020年01月08日 14:54

ゆっくまさん、こんにちは。返信が遅くなってすみません。

クリーンインストールすると、デバイスドライバやその他のソフトウェアも再インストールが必要ですし、もちろん設定も再度行う必要がありますし、手間が掛かりますよね? なかなか珍しい使い方ではないかなと思います。(もちろん何も悪くはありません。)

おっしゃる通り、メーカー製PCではリカバリDVDを自力で作成しておかなければならない場合もあり、メーカーから手に入れるには有償なこともありますね。この場合のリカバリDVDには、Windowsそのものだけではなく、そのPCで使うデバイスドライバ、付属ソフトウェアなども同時に含まれているハズです。なので、Microsoftが今配布している「OSだけを含むISOイメージ」とは用途が異なります。Windows10搭載PCでも、メーカー製PCを購入したなら(リカバリDVDが付属していなければ)今でも自力で最初にメーカー側が指定する手順でリカバリDVDを作っておく必要があります。(さもなければ、購入時点で標準添付されていたソフトウェア等の再インストールができなくなります。)

さて、Windows10をクリーンインストールするためには、あらかじめISOファイルをダウンロードしておく必要があるというのは、おっしゃる通りです。しかし、メーカー製PCをお使いであり、OS以外のドライバやソフトウェアなども際インストールしたいのであれば、Microsoftが提供しているISOイメージだけがあっても足りません。Microsoftが提供しているISOイメージには、Windows10そのものしかありませんから。(OSさえ入れられれば問題ない、ということであれば、確かにMicrosoft提供のISOイメージだけで済みます。)

なお、使えるPCが1台しかない場合は、確かにあらかじめISOファイルを光メディア等にバックアップしておかないと、クリーンインストールできません。しかし、もう1台PCがあるなら(または出先や職場や学校等でPCが使えるなら)そのPCを使って必要になった際にISOイメージをダウンロードすれば済むとも言えます。もちろん、MicrosoftがISOイメージをずっと公開し続ける方針でいるかどうかは分かりませんし、ダウンロードには時間がかかるわけですから、手元にバックアップがあった方が望ましいことには違いないと思います。私もISOイメージのバックアップは一応は持っています。

投稿者 にしし : 2020年01月14日 00:55

コメント数: 4件

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にしし(西村文宏)

にししでございます。本書いたり記事書いたりしてます。あと萌えたり。著書5冊発売中です(Web製作系4冊+小説1冊)。著書や記事は「西村文宏」名義。記事は主にAll Aboutで連載。本の最新刊は2011年3月に発売されたライトノベルでございますよ。

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