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Presented by Nishishi via Movable Type. Last Updated: 2018/07/24. 23:26:45.

役所が人口推計を出す必要性とは? 校区単位での予測が必要

直近の市内人口を推測するシステム

昔々、将来の市内人口を推計するシステム開発プロジェクトに関わっていたことがあります。
単に、1つの市の人口がどうなるかを予測するわけではありません。
公立学校の通学区域のことを「校区」と呼びますが、この校区単位で人口がどう変化するのかを推測するシステムです。総人口ではなく、何歳(何年生)の住民がどう増減するかまで予測します。

機能としては、市内の新規建築物件などの情報を入力することで翌年度以降の人口の動きを年齢別に推測するシステムです。役所側が過去データと費用を出し、大学が研究開発する形の官学協同プロジェクトでした。

この話をすると、なんで人口なんか推計するんだ? しかもそんなに細かい地域に分けて? と疑問に思われることが多いんですが、人口の動きを予測しないと役所が困る理由があります。

翌年度の公立学校に先生とクラスをどれだけ用意すればいいか?

役所は、公立の小学校や中学校などを抱えています。
義務教育ですから、定員オーバーだからといって入学を断ることはできません。
当然、新年度になるよりも前の段階で、翌年度に教室が足りるかどうか、教員の数が足りるかどうかを把握しておく必要があります。さらに、小学校では学年によって椅子や机の高さが異なりますから、「ある学年の椅子・机が足りるのかどうか」も確認しておく必要があります。

問題は、人々が引っ越しするのはたいてい3月だ、ということなんですよね。(^_^;)

役所側は当然(最終的には)正確な人口を把握できますし、特に小中学校に通う子供が居る家庭の場合は引っ越す前に入学・転校手続きを取るでしょうから事前に把握はできるのですが、「校区単位でどれくらいの人口が変化するか(入ってくるかまたは出て行くか)」が本当に確定するのは、3月末になってからです。
しかし、そんなギリギリの時期になってから「○○小学校に教室が足りない」とか「××中学校に教員が足りない」などということになっても、その時点から手配するのは困難です。
いや、教員ならもしかしたら(特に学校数の多い市なら)融通が利くかも知れませんが、教室が物理的に足りない場合は困ります。

もし、ある小学校で教室が足りなくなりそうだということになれば、校区そのものを変更する必要もあります。その場合、周知のために準備期間もそこそこ必要です。
そんなに大量に児童・生徒がいきなり増えることがあるのか? と思われるかも知れませんが、大きなマンション群が建設されれば、ある特定の校区に一気に人が増えることはあり得ます。

というわけで、新たに入学・転入してくる児童・生徒の数がどれくらいになるのか、もっともっと前の段階で分かっていないと、準備ができなくて困るわけです。
なので、翌年度の人口が(学年別に)どうなるのかを、引っ越しシーズンが終わるよりも前に、校区単位で事前に予測しておく必要があるのです。

新築物件ができるからといって、児童や生徒の数が増えるとは限らない

もちろん、人が増えるからといって公立学校に通う子供がどれくらい増えるかは単純には分かりません。
マンションが建設されたとしても、もしかしたら(小中学生の)子供が居る家庭はほとんど居ない可能性だってあります。逆に、その年代の子供の居る家庭ばっかりが入る可能性もあります。(とはいえ、その年代の子供が居たとしても、公立学校に通うとは限りません。)

入居者がどのような構成になるかは、マンションの形態(家族向けか単身者向けか、高層か低層かなど)によっても変わりますが、立地条件も当然影響するでしょう。すぐ前に学校や公園があるマンションと、すぐ前に病院があるマンションと、すぐ前にパチンコ屋があるマンションとで、入居者が同じ層、ということはありません。また、マンションが建設される前に何があった土地なのか?といった情報も影響する可能性があります。(「前に何があった土地なのか」は、同一市内での引越者と、市外からの転入者との比率に影響したりもします。当然、同一市内での引越者の場合は、別の校区で人数が減ることにも繋がります。)

このように人口比率には複雑な条件が影響しているため、より精度高く人口を推計するためには、新規建築物件などの環境情報(物件の規模、商業施設や病院との距離、駅やバス停との距離、幹線道路や高速道路との距離など様々な条件)をパラメータとして1件ずつ指定することで、公立学校に通う児童・生徒がどれくらい増えそうか(特に小学校の場合は「何年生が増えそうか」まで)を推計するシステムが必要なわけです。

役所には過去の人口推移を記録したデータがありますし、市内の建築物件のデータもあります。各物件にどのような層の人々が住んでいるかの情報もあります。
そこで、それらの過去データを使って、「どういう条件に該当する物件が建築されたときに、生徒や児童の数がどれくらい増えるのか」のような規則を見つけ出します。過去データがあれば、推計システムの正しさは過去データから過去データを推計してみることで確認できます。(例えば、2000年~2015年のデータを使って2016年の人口を推計してみるとか。)

そうして作られたシステムを使って、今年に新たに建設される物件の情報を入力することで、翌年度の人口を推計し、校区や教員や備品の調整に活用します。

校区変更の説明に必要

市役所の担当者さんの話によると、公立学校の準備のために人口を推計する必要があるのはもちちろんですが、何よりも住民に説明するために必要とのことでした。(^_^;)
※まあ、当然そのような人口推計システムを開発するよりも前から、役所では人口を予想して各種調整をしてきたわけですからね。^^;

例えば、「翌年度から○○小学校の校区に大幅に人数が増えそうなので校区を変更して、一部の児童を××小学校へ移す」というような決断を下す際、「1丁目~3丁目の児童は○○小学校のままだけど、4丁目~6丁目の児童は××小学校へ転校させる」というような調整方法を採らざるを得ない場合もあります。
そうすると、必ず「うちの子は4丁目の△△ちゃんと仲が良かったのに!」という苦情が届くそうで、その際に、「○○小学校校区の人口が増えるため教室が足りなくなるので必要なのだ」と説明するために、人口推計結果のデータを示す必要があるという話でした。
たしかに、何のデータもない状況で「教室が足りなくなる」と説明されても納得し難いでしょうし、推計システムで予測された結果を出された方が納得はしやすいでしょう。

というわけで、人口を推計するシステムは、

  • 翌年度の公立学校の準備や校区の割り当てを調整するために必要であり、
  • 校区変更が発生する場合の説明資料としても必要

なのでした。

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にしし(西村文宏)

にししでございます。本書いたり記事書いたりしてます。あと萌えたり。著書5冊発売中です(Web製作系4冊+小説1冊)。著書や記事は「西村文宏」名義。記事は主にAll Aboutで連載。本の最新刊は2011年3月に発売されたライトノベルでございますよ。

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