にしし ふぁくとりー:西村文宏 個人サイト

Presented by Nishishi via Movable Type. Last Updated: 2022/04/22. 12:56:06.

放棄した独自ドメインが広告サイト化してしまうダメージに注意

独自ドメインは誰でも自由に取得できますが、年間の維持費を支払い続けなければ権利を維持できません。もはや利用しない独自ドメインが出てしまった場合には、取得したドメインの権利を放棄する(=ドメインの使用を廃止して維持するのをやめる)選択もあり得るでしょう。しかし、その際には、放棄したドメインが望ましくない活用方法をされてしまう可能性がある点に注意が必要です。

独自ドメインを放棄すると、第三者によって広告サイト化されてしまう可能性がある

最近のウェブでは、誰かが使用権を放棄したドメイン名はすぐに広告会社などが買い取って、広告スペースとして活用されることが多々あります。なぜなら、一定期間以上利用されていたドメインは様々な場所からリンクされている可能性があるので、何もしなくても一定の閲覧数が見込めるため、広告掲載場所として適しているからです。

今まで自分(自社)のブランドを使って運営してきたウェブサイトの独自ドメインを廃止した結果、そのドメイン名が第三者によって再取得され、いかがわしい広告サイトに使われてしまった場合、従来の顧客はどう感じるでしょうか。
顧客側の視点から見ると、今まで自分が利用してきたウェブサイトにアクセスしようとしたら、突然いかがわしい広告サイトが現れるわけです。「この会社、とうとうこんな商売に手を染めたのかな?」などと、マイナスイメージを持たれてしまう危険もありそうです。

放棄ドメインの広告サイト化問題は既に多々ある

この問題は各所で起きていて、例えば衆院選の立候補者が利用していた独自ドメインが(落選後に放棄された後)、カードローンや美用系広告サイトに使われてしまっている例もあります。その一例は、「2012年衆院選落選候補の元公式サイトが順調にSEO業者等のサテライトサイトに化けつつある」でも紹介されています。
「あのときの立候補者は今どうしているのかな?」と思って覗きに行ったかつての支援者が、元立候補者の独自ドメインでいかがわしげな広告サイトが運営されている状況を見ると、ずいぶんと悪いイメージを持ってしまうかもしれません。

放棄されたドメイン名は、誰でも再取得可能だという点を忘れずに

ドメイン名とは現実世界での「住所」のようなものなので、元の持ち主がその住所を放棄すれば、その跡地をどう使うかは新しく購入した人の自由です。一度広告スペースとして使われてしまえば、他者にはどうにもできません。(今の持ち主が手放すことがあれば、再度使用権を手に入れることは可能ですが。)

例えば、2009年に実施された衆議院議員総選挙では、総務省が 2009senkyo.jp というドメインを使って告知サイトを運営していました。しかし、選挙終了後にあっさり手放してしまったため、その後、とある学習塾のウェブサイトに利用されてちょっと話題になりました。
選挙の公式告知サイトなら多数のウェブサイト(ニュース記事など)からリンクされていたでしょうから、検索対策的にはおいしいドメインだったでしょうね。
その学習塾がその後どうなったのかは知りませんが、今ではまた別のサイトに転用されているようです。(^_^;)

さすがに総務省も学習したのか、現在では選挙のような特別サイトであっても、soumu.go.jpという行政専用のドメインを使ってサイトを運営するようになったようです。例えば http://www.soumu.go.jp/2014senkyo/ などのように。(※今はこのページはありません)

一度取得して運営に使った独自ドメインは、極力放棄しないことが重要

自身が放棄したドメイン名が広告サイトに使われてしまうのを防ぐには、一度取得して運営に使った独自ドメインは決して手放さないことです。(^_^;) 一度ドメイン名を放棄してしまえば、誰でもその名称を取得可能になってしまいますから、その後どう使用されるのかを決めることはできません。

一度取得したドメイン名は、極力手放さないことが重要です。

ウェブサイトを運営するにはドメイン名以外にウェブサーバも必要ですが、使用を停止したドメイン名にはウェブサーバを割り当てる必要はありません。使っていたウェブサーバは解約しても構わないので、ドメイン名の権利だけを維持し続ければ問題ありません。ドメイン名の維持費は掛かり続けますが、サーバ代は必要ありませんから多少の費用削減はできます。
もし、他のウェブサイトを運営しているのであれば、そちらのウェブサーバを指すように設定を変更することで、自分(自社)でドメインを使い続ける方法もあるでしょう。

クライアントの独自ドメインが広告サイトに変貌していた……

廃棄したドメインが広告サイトに使われてしまうケースなぜこの話を書いたかというと、私がウェブ製作を担当していた某社がこの目に遭ったからです。(-_-)

先方が所有していた複数の独自ドメインのうちの1つ(長らく更新がなかったサイトのドメイン)を、先方が私に相談なく廃止してしまい、その結果、その独自ドメインにアクセスすると広告サイトが表示されるようになってしまいました。

まあ、「直前まで利用されていたウェブサイトの内容に近い広告を自動表示することで広告料を稼ごう」というタイプの広告サイト(※広告リンクが列挙されるだけのサイト)なのか、表示されている単語は今のところは元の運営題材に近く、「いかがわしい」という使われ方ではなかったので、ダメージはさほど大きくはなかったのですが。でも、このドメインが今後も同じように使われ続けるとは限りませんから、ずっと大丈夫だとは誰にも言えません。

ドメイン廃止を検討していることを事前に聞いていれば止められたのですけども。残念でした。

新たに専用ドメインを用意したい場合は、サブドメインを使う手もある

新たにウェブサイトを立ち上げる際には、それ専用の独自ドメインを用意したい、と思う場合もあるでしょう。
しかし、完全に新しいドメインでなくても、今使っているドメインのサブドメインを使うという選択肢もあります。
例えば、 www.example.com がメインサイトだとすると、 newsite.example.com というサブドメインを用意して新しいサイトを運営するなどです。
この方法なら、そのサイトを閉鎖する際でもドメインそのものを廃止することにはなりませんから、第三者に取られる心配はありません。また、サブドメインなら作成費用はタダなので、余計なドメイン維持費用がかからないメリットもあります。

というわけで、

  • 一度取得した独自ドメイン名は、放棄(廃止)しないことが重要。
  • 新たに専用ドメインを用意したい場合は、既存ドメインのサブドメインを使う手を検討しても良いのでは。

という話でした。

関連日記:
ウェブサイトを閉鎖するときはSEO的価値を消滅させてから(@2022年4月22日)

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著者紹介


にしし(西村文宏)

にししでございます。本書いたり記事書いたりしてます。あと萌えたり。著書5冊発売中です(Web製作系4冊+小説1冊)。著書や記事は「西村文宏」名義。記事は主にAll Aboutで連載。本の最新刊は2011年3月に発売されたライトノベルでございますよ。

Twitter:にしし/西村文宏
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